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By デジタルサイネージディレクター:t.takita Posted

【2025年版】自治体でのデジタルサイネージ導入から運用まで事例をもとに解説

近年、地方自治体におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の一環として、デジタルサイネージの導入が急速に拡大しています。株式会社富士キメラ総研の調査によると、デジタルサイネージ市場は2027年に3,294億円まで拡大すると予測されており*¹、住民サービスの向上と業務効率化の両立を実現する重要なツールとして注目されています。

本記事では、自治体がデジタルサイネージを導入する際の具体的な効果、選定基準、そして実際の導入事例から学ぶ自治体応用や成功のポイントまで、実務担当者が知りたい情報を解説します。

 

自治体のデジタルサイネージ活用が加速する背景とDX推進効果

地方自治体のDX推進における情報発信システムの重要性

地方自治体では、行政手続きのデジタル化と並行して、住民への情報提供手段の見直しが進んでいます。従来のポスター掲示や印刷物配布から、リアルタイムでの情報更新が可能なデジタルサイネージへの移行により、地域住民へ迅速で正確な情報を届けられるようになりました。

特に災害時の緊急情報配信や観光情報の多言語対応など、従来のアナログ媒体では対応困難だった課題に対して、デジタルサイネージが効果的な解決策となっています。

 

庁舎案内における住民サービス向上と業務効率化の課題

多くの自治体では、庁舎での住民案内業務において以下のような課題を抱えています。

  • 窓口職員の案内業務負担増加
  • 多言語対応の困難さ
  • 情報更新の手間とコスト
  • 待ち時間によるストレス

これらの課題に対して、デジタルサイネージの導入により、自動案内システムの構築や多言語表示の実現、リアルタイム情報更新が可能となり、住民の利便性向上と職員の業務効率化を同時に達成できます。

 

自治体向けデジタルサイネージ導入で見込める5つの効果

効果1:公共施設での住民案内業務の効率化とリアルタイム情報提供

デジタルサイネージ導入により、公共施設での住民案内業務が大幅に効率化されます。従来の紙ベースの案内では、情報更新に時間とコストがかかっていましたが、デジタル化により即座の情報更新が可能となります。

具体的な効果:

  • 窓口職員の案内業務時間を大幅に削減
  • 施設内での迷子防止と利用者満足度向上
  • 手続き待ち時間の有効活用

効果2:地域観光情報・イベント情報の魅力的な発信機能

地域の観光スポットやイベント情報を、動画や高画質画像を活用して魅力的に発信できます。静的なポスターでは伝えきれない地域の魅力を、視覚的に訴求力の高いコンテンツで表現することで、観光客の誘致と地域活性化に貢献します。

実現できる機能:

  • 季節イベントのタイムリーな情報発信
  • 観光スポットの動画紹介
  • 交通アクセス情報の多言語表示

効果3:災害・防災情報の緊急配信システムによる市民の安全向上

災害発生時や防災訓練時において、緊急情報を即座に配信できるシステムの構築により、市民の安全確保に大きく貢献します。平常時は一般的な行政情報を表示し、緊急時には自動的に災害情報に切り替える仕組みを構築できます。

安全向上への効果:

  • 避難指示の迅速な伝達
  • 交通規制情報のリアルタイム更新
  • 多言語での緊急情報提供

効果4:窓口待ち時間のストレス軽減と利用者の利便性向上

庁舎や公共施設での待ち時間を有効活用し、利用者のストレス軽減と利便性向上を実現します。待機中に有益な行政情報や地域情報を提供することで、時間の有効活用が可能となります。

利便性向上の具体例:

  • 手続き所要時間の表示
  • 行政サービスの案内動画
  • 地域のお知らせ情報

効果5:多言語対応による観光客向けサービスの充実

多言語対応により、外国人観光客へのサービス向上を実現します。英語、中国語、韓国語など主要言語での案内表示により、国際的な観光地としての魅力向上に貢献します。

●多言語デジタルサイネージのメリット・デメリットについての記事はこちら

多言語デジタルサイネージのメリット・デメリット

 

【共栄メディアの導入事例から学ぶ】自治体が抱える課題の解決策

ここからは共栄メディアがデジタルサイネージの導入支援を行なってきた事例をもとに、多くの自治体が抱える課題の解決方法を考察します。

課題1:観光案内所での多言語対応と観光客への効果的な地域の魅力発信

【解決事例】ミラーサイネージ導入による多言語タッチパネルで効果的な案内を実現

共栄メディアが手がけたホテルグレイスリー新宿様の事例では、エレベーターホールにミラーサイネージを設置し、多言語での観光情報提供を実現しました。タッチパネル機能により、外国人宿泊客が自分で必要な情報を取得できる環境を構築しました。

自治体への応用:

  • 観光案内所での24時間対応案内システム
  • 施設から目的地までの所要時間表示などの実用的な情報提供
  • 鏡特有の奥行き感による注目度向上

●「ホテルグレイスリー新宿」様についての記事はこちら

「ホテルグレイスリー新宿」様

課題2:庁舎でのアナログ情報掲示から効率的な住民情報提供への転換

【解決事例】ホワイトボードからデジタル化による業務効率の向上

世田谷更生館様では、従来A1サイズのホワイトボードを3箇所で運用し、月間予定や個人行動計画を管理していました。そこで65インチの4Kディスプレイを1台導入し、情報を1箇所に統合、コンテンツの切り替えによる効率的な運用を実現しました。

導入効果:

  • 情報更新作業時間を劇的に短縮
  • ハードの選定からご提案し、1台の導入で掲示板設置コストを大幅に低減
  • 4K高画質により細部まで鮮明で文字の視認性が向上

自治体への応用:

  • 各種手続きの案内の情報を1つに統合
  • PowerPointテンプレートで配信内容を職員が簡単に更新
  • PORABO配信システムによる事務所からの遠隔管理

●「社会福祉法人 友愛十字会 世田谷更生館」様についての記事はこちら

「社会福祉法人 友愛十字会 世田谷更生館」様

●PORABO配信システムについての記事はこちら

PORABOってなんだろう!?

課題3:来客時の施設案内業務の効率化と職員負担軽減

【解決事例】来客用タッチパネルによる自動案内システムの導入

製薬会社様では、来客用のタッチパネルコンテンツのリニューアルにより、従来の人的案内から自動案内システムへの移行を実現。75インチの大型ディスプレイとマルチタッチ機能により、複数人での同時利用も可能となりました。

職員負担軽減の効果:

  • 来客案内業務の負担を大幅に削減
  • 案内内容の標準化による品質向上
  • USB運用による簡単なコンテンツ更新

自治体への応用:

  •  庁舎エントランスでの来庁者自動案内システムの構築
  • 各課、窓口への詳細な道案内とフロアマップ表示
  • 手続き別の必要書類・所要時間の事前案内

●製薬会社様「来客用タッチパネルサイネージ」についての記事はこちら

製薬会社様「来客用タッチパネルサイネージ」

課題4:複数公共施設での情報配信の一元管理とコスト削減

【解決事例】水族館での複数拠点統一管理システムによる運用コスト削減

新江ノ島水族館様では、館内11台のサイネージをPORABO配信システムにより一元管理。ソニー業務用ブラビアとの組み合わせにより「STBレス」での運用を実現し、導入コストを大幅に削減しました。

コスト削減の詳細:

  • STB機器費用が0円に
  • 複数拠点を1箇所から一括管理、運用

管理画面の優位性:

  • 操作が簡単で、専門知識のない職員でもすぐに使用可能
  • Webベースのため専用ソフト不要でPCやスマホからアクセス可能
  • 災害時には自動的にテレビ放送に切り替えることが可能

自治体への応用:

  • 庁舎・支所・出張所・公民館・図書館等の全公共施設での統一情報配信
  • 各施設の職員が個別にコンテンツ更新する手間を削減
  • 各施設の利用状況や職員配置に応じたコンテンツの時間帯別自動切り替え

●「株式会社新江ノ島水族館」についての記事はこちら

「株式会社新江ノ島水族館」様

 

自治体デジタルサイネージの効果的な設置場所とディスプレイ選定方法

庁舎・公共施設での屋内設置のポイントと画面サイズ選定

庁舎公共施設での設置において、利用者の動線分析とディスプレイの視認距離を考慮した画面サイズ選定が重要です。

設置場所別の推奨仕様:

設置場所 推奨画面サイズ 視認距離 主な用途
受付カウンター 32-43インチ 1-3m 案内・手続き説明
エントランス 55-65インチ 3-8m 観光情報・イベント告知
待合ホール 65-75インチ 5-15m 広報災害情報

屋外設置の技術要件:

  • 防水・防塵性能: IP65以上の国際規格対応
  • 輝度: 高輝度対応(直射日光下での視認性確保)
  • 動作温度範囲: 幅広い温度環境対応
  • 耐候性: 塩害・紫外線対応

●屋外用サイネージディスプレイを選ぶ時の注意点についての記事はこちら

屋外用サイネージディスプレイを選ぶ時の注意点

タッチパネル機能の活用法:

  • 多言語切り替えインターフェース
  • 観光スポットの詳細情報表示
  • 交通アクセス情報の検索
  • イベント情報のカレンダー表示

施設内でのビジョン配置と利用者動線の最適化

施設内でのビジョン配置は、利用者の行動パターン分析に基づいた最適な配置により、情報伝達効果を最大化します。

動線最適化の設計手法:

  1. 入口:歓迎メッセージと施設案内
  2. 廊下:移動中のイベント情報表示
  3. 待合:詳細な行政サービス案内
  4. 出口:地域情報と次回来庁の案内

 

自治体向けデジタルサイネージ選定時の重要ポイントと失敗回避策

システム選定で重視すべき機能と将来拡張性

自治体でのデジタルサイネージシステム選定では、現在のニーズだけでなく、将来的な拡張性を考慮した選定が重要です。

選定基準の重要項目:

  1. 操作性:職員が簡単に運用できるインターフェース
  2. 拡張性:施設増設時のシステム追加対応
  3. 安定性:24時間365日の連続運用に耐える仕様
  4. 互換性:既存システムとの連携機能

ベンダー選定基準と導入後のサポート体制

ベンダー選定では、導入時だけでなく運用開始後の継続的なサポート体制の評価が重要です。

ベンダー評価の基準:

  • 自治体での導入実績とノウハウ
  • 全国対応可能なサポート体制
  • 緊急時の対応スピード
  • 職員研修・運用支援の充実度

サポート体制の重要項目:

  • 障害時の24時間対応
  • コンテンツ制作支援
  • システムアップデート対応
  • セキュリティ対策の継続実施

よくある導入失敗パターンと対策方法

導入失敗を回避するため、よくある失敗パターンを事前に把握し、対策を講じることが重要です。

失敗パターン1:運用体制の未整備

  • 問題:導入後にコンテンツ更新が滞る
  • 対策:導入前の運用ルール策定と職員研修実施

失敗パターン2:コスト計画の甘さ

  • 問題:運用費が予算を大幅超過
  • 対策:5年間の総コスト試算と予算計画策定

失敗パターン3:技術選定のミス

  • 問題:機能不足や操作性の問題
  • 対策:事前の実機デモと職員による操作テスト

 

まとめ:自治体デジタルサイネージで実現する住民サービス向上

自治体におけるデジタルサイネージ導入は、単なる情報表示システムの導入を超えて、住民サービスの質的向上と職員の業務効率化を同時に実現する重要なDX推進ツールです。

本記事で紹介した共栄メディアの導入実績からも明らかなように、適切な計画と実装により、以下のような具体的な効果が期待できます。

定量的効果:

  • 窓口業務時間の大幅削減
  • 情報更新作業の大幅効率化
  • 運用コストの削減
  • 住民満足度の向上

定性的効果:

  • 多言語対応による国際化対応
  • 災害時の情報伝達体制強化
  • 地域観光情報の効果的発信
  • 職員の業務負荷軽減

 

専門家によるサポートを活用しませんか?

私たちはデジタルサイネージの導入から運用体制構築まで、トータルでサポートしています。
「効果的な運用を始めたい」「現在の運用に課題を感じている」という方は、ぜひお気軽にご相談ください。


参考文献

      1. *1 株式会社富士キメラ総研「デジタルサイネージ市場総調査 2023」プレスリリース(2023年7月27日)
        https://www.fcr.co.jp/pr/23085.htm
      2. *2 経済産業省「IT導入補助金2024(サービス等生産性向上IT導入支援事業)」
        https://www.it-hojo.jp/
この記事を書いた人
デジタルサイネージディレクター:t.takita
映像制作のエキスパートでありながら、配信システムの提案からサイネージ機器の選定まで、サイネージディレクターとしても活動している。 サイネージ業界で培った経験をもとに魅せるコンテンツの提案からロケーションに合わせたサイネージの提案までを実績ベースにてゴールに導きます。

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