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By デジタルサイネージディレクター:t.takita Posted

デジタルサイネージ社内導入完全ガイド – メリットと効果的な設置場所を徹底解説

はじめに

「重要な情報が社員に伝わらない」「同じお知らせを何度も説明する手間がかかる」「現場作業者への情報共有が困難」-このような情報伝達の課題に悩む企業が増えています。

多様な働き方が定着した現在、従来の掲示板やメール配信だけでは、全社員への確実な情報伝達は困難です。特に製造現場やサービス業など、デスクワーク以外の職種では情報格差が深刻化しています。

そこで今、企業では視覚的で即効性の高い情報伝達手段として「社内向けデジタルサイネージ」が注目を集めています。

本記事では、社内でのサイネージ導入を検討している担当者に向けて、メリットと効果的な配置場所について実践的な情報を解説します。

 

デジタルサイネージとは何か

社内でデジタルサイネージを導入する6つのメリット

1. 情報伝達効率の飛躍的向上

デジタルサイネージを導入した企業の多くが実感するのが、情報伝達効率の劇的な改善です。従来のメールや社内ポータル、社内報、ホームページなどの受動的な情報取得手段と比較して、デジタルサイネージは大幅に高い情報伝達率を実現することが、多くの導入企業から報告されています。

2. PCを使わない従業員への情報格差解消

現代のオフィスでは、すべての従業員がPCを常時使用するわけではありません。特に製造業や現場作業が中心の職場では、パソコンを持たない工場の従業員への情報伝達が課題となっています。このような環境では、デジタルサイネージが情報格差解消の重要な役割を果たします。

PCアクセスの有無に関係なく、全従業員に平等に情報を届けることで、組織全体の情報共有レベルを底上げできます。

3. リアルタイム情報更新による業務効率化

デジタルサイネージの大きな強みの一つが、リアルタイムでの情報更新機能です。従来の紙媒体では不可能だった即座の情報更新により、常に最新の情報を従業員に提供できます。

さらに、天気予報や交通情報などの外部情報と連携することで、従業員の日常業務をサポートする情報提供も行えます。

4. 印刷コストと作業負荷の大幅削減

従来の紙媒体では、デザイン制作から印刷・配送・掲示・撤去まで多くの工程とコストが発生していました。

デジタルサイネージ導入により、これらの作業がすべてデジタルで完結。印刷費は不要となり、情報更新もシステムにアップするだけで全拠点に即時反映されます。総務部門の負担を大幅に減らし、頻繁かつ正確な情報発信が可能になります。

5. インナーブランディングの強化

デジタルサイネージは、企業のインナーブランディング強化にも効果的なツールです。企業理念や経営方針を映像や音楽を通じて視覚的に伝えることで、従業員の理解と共感を促進します。

従来のポスターでは伝えにくい企業の価値観や文化も感情に訴えかける表現が可能です。沿革や実績、社会貢献活動などを継続的に発信することで、社員の誇りや一体感が育まれ、新入社員や中途入社者の理解促進にもつながります。

6. 緊急時の迅速な情報伝達

平常時は社内コミュニケーションツールとして機能するデジタルサイネージですが、緊急時には重要な情報伝達手段としても活用できます。台風や地震などの自然災害時には、最新の災害情報を自動配信することで、社員の安全確保に貢献します

緊急時は通信ネットワークが混雑して災害情報にアクセスできなくなる可能性があるため、オフィスに勤務する従業員だけでなく、来客されているお客様にも、サイネージを通じていち早く安全な情報を提供することができます。また、システム障害や設備トラブルなど、業務に影響する緊急事態の際にも、瞬時に全社員に状況を伝達できるため、適切な対応を促すことが可能です。

●デジタルサイネージが防災に活用するメリットはこちら

デジタルサイネージを防災に活用するメリット

 

効果的なデジタルサイネージ設置場所と導入事例

デジタルサイネージの効果を最大化するためには、人の導線を考慮した戦略的な設置場所の選定が重要です。ここでは、特に効果の高い設置場所について解説します。

エントランス・受付での活用

オフィスのエントランスや受付は、来客と従業員の両方が必ず通る場所として、最も効果的な設置場所の一つです。来客には企業紹介動画や事業内容を通じて第一印象を向上させ、従業員には当日の重要情報や天気予報を提供することで、一日の業務開始をサポートできます。

実際の導入事例1:新宿グリーンタワービル様

新宿副都心の超高層ビル街に位置する新宿グリーンタワービル様では、エントランスに業務用ブラビアを設置し、STBレスのPORABO配信システムで管理しています。テレビ、ニュース、天気予報をスケジュール配信することで、来館者の利便性向上を実現しています。

●新宿グリーンタワービル様の記事はこちら

新宿グリーンタワービル様「エントランスサイネージ」

実際の導入事例2:株式会社UNIVERSAL様

不動産投資・リノベーション事業を手がける株式会社UNIVERSAL様では、新たなショールーム開業に際してエントランスにデジタルサイネージを導入しています。不動産という高額商材を扱う同社では、来訪者が抱く信頼感が成約に直結するため、エントランスでの印象形成が事業成功の重要な要素となっています。デジタルサイネージにより、企業のイメージを効果的にアピールし、来客の信頼感向上に貢献しています。

●株式会社UNIVERSAL様の記事はこちら

株式会社UNIVERSAL様「エントランスサイネージ」

エレベーターホールの戦略的活用

エレベーターホールは、利用者が一定時間滞留し、集中して視聴できる環境が整っています。一日に何度も利用する場所のため、繰り返し視聴による情報の定着効果が高く、複数フロアにまたがる情報共有も効率的に行えます。

実際の導入事例:株式会社アカツキライブエンターテインメント「アソビル」様

横浜駅直通の複合型エンターテインメントビル「アソビル」では、1Fグルメストリート入口のエレベーターホールにデジタルサイネージを設置しています。ソニーブラビア4Kモニターをハヤミ製イーゼルスタンドで設置し、シンプルメディアプレイヤーによる配信システムを採用しています。

●株式会社アカツキライブエンターテインメント「アソビル」様の記事はこちら

株式会社アカツキライブエンターテインメント「アソビル」様

会議室・プレゼンテーションエリアでの活用

会議室では、従来のプロジェクターと比較して明るい環境での高い視認性により、会議の効率化と質の向上を実現できます。デジタル資料の共有が簡単になり、会議室の予約状況表示により効率的な利用も促進されます。

実際の導入事例:製薬会社様

製薬会社様では、来客用のタッチパネルコンテンツのリニューアルにより、従来の人的案内から自動案内システムへの移行を実現しています。大型ディスプレイとマルチタッチ機能により、複数人での同時利用も可能となり、来客対応の効率化と案内品質の向上を同時に達成しています。

●製薬会社様の記事はこちら

製薬会社様「来客用タッチパネルサイネージ」

 

導入時の検討ポイントとベストプラクティス

デジタルサイネージの導入を成功させるためには、事前の計画と継続的な運用体制の構築が不可欠です。多くの企業が導入後に直面する課題を避けるために、以下のポイントを重視した準備を行うことが重要です。

コンテンツ制作・更新体制の構築

デジタルサイネージの効果を継続的に発揮するためには、魅力的なコンテンツの継続的な制作と更新が欠かせません。成功している企業の多くは、総務部門だけでなく、全社的なコンテンツ制作体制を構築しています。

効果的なアプローチとして、社内の各部署からコンテンツ投稿を受け付けるシステムを構築する方法があります。社内で使用しているグループウェアを活用して「デジタルサイネージ配信申請サイト」を作成し、各部署から配信したいコンテンツを申請してもらう仕組みです。総務部門が承認フローを管理することで、品質を保ちながら多様なコンテンツを確保できます。

この分散型のコンテンツ制作体制により、総務部門の負担を軽減しながら、現場に近い情報を迅速に配信することが可能になります。また、各部署の主体的な参加により、組織全体でサイネージを活用する文化も醸成されます。コンテンツガイドラインを明確に定めることで、統一感のある情報発信を維持できます。

●デジタルサイネージコンテンツの種類とその重要性はこちら

デジタルサイネージコンテンツの種類とその重要性

効果測定と継続的改善

導入後の効果測定は、サイネージの価値を最大化するために欠かせない要素です。多くの成功企業では、導入初期から定期的な社内アンケートを実施しています。アンケートにより、コンテンツの内容、設置場所、配信時間などについて課題を把握し、継続的な改善に活用しています。

効果測定では、定量的な指標と定性的な評価の両面から検証することが重要です。情報伝達率の向上度合いや視聴時間の測定などの定量データに加えて、社員の満足度や業務への影響などの定性的な評価も収集します。これらの情報を総合的に分析することで、ROIの算出と今後の改善方向性を明確にできます。

技術的要件の検討

デジタルサイネージシステムの選択においては、組織の規模や運用方針に応じた最適な技術方式を選択することが重要です。主な選択肢として、ネットワーク型とスタンドアロン型の二つのアプローチがあります。

ネットワーク型システムは、複数拠点での一元管理が可能で、リアルタイム更新や遠隔操作による運用効率化が実現できます*⁴。クラウドサービスとの連携により、外部データとの自動連携も可能になります。一方、初期導入コストが高く、ネットワーク環境に依存するというデメリットもあります。

スタンドアロン型システムは、導入コストが低く、ネットワーク障害の影響を受けないというメリットがあります*⁴。セキュリティリスクも軽減でき、シンプルな運用が可能です。ただし、大規模な配信や頻繁な更新には向いていないため、利用目的を明確にした上で選択することが重要です。

●デジタルサイネージの種類とその特徴

【完全保存版】デジタルサイネージ3種類の選び方|10万円台から始める導入ガイド

段階的導入による リスク最小化

いきなり大規模な導入を行うのではなく、段階的なアプローチを取ることで、リスクを最小化しながら効果を最大化できます。多くの成功企業では、3つのフェーズに分けた導入計画を採用しています。

第一フェーズでは、1〜2台でのパイロット導入から始めます。エントランスや食堂など、効果の見えやすい場所に設置し、基本的なコンテンツでの運用を開始します。この段階では、社員の反応や技術的な課題を把握し、運用ノウハウの蓄積を図ります。

第二フェーズでは、パイロット導入の効果測定結果を基にした水平展開を行います。複数フロアや複数拠点への拡張を進めながら、コンテンツの多様化も図ります。運用体制の確立と品質向上に重点を置く段階です。

第三フェーズでは、高度な活用機能の導入を行います。業務システムとのデータ連携による自動更新機能や、インタラクティブ機能の追加などを検討します。

 

導入コストと投資対効果の検証

デジタルサイネージの導入にあたっては、初期投資と継続的な運用コストを正確に把握し、期待される効果との関係を検証することが重要です。近年、技術の進歩とサービスの多様化により、以前と比較して導入コストは大幅に低下しており*⁵、中小企業でも導入しやすい環境が整っています。

初期投資の詳細分析

デジタルサイネージの導入には、ハードウェア、ソフトウェア、設置工事、コンテンツ制作など、複数の要素で構成される初期投資が必要です。ハードウェア面では、43型から75型の大型ディスプレイが20万円から80万円程度、配信を行うためのSTB(セットトップボックス)や専用端末が3万円から10万円程度となっています。

設置工事費については、設置場所や配線の複雑さにより5万円から20万円程度の幅があります。壁掛け設置の場合は金具代と工事費が、スタンド設置の場合はスタンド代が別途必要になります。ネットワーク配線が必要な場合は、追加の工事費が発生することもあります。

ソフトウェア面では、配信システムの利用料が月額1万円から5万円程度となっており、クラウド型サービスの普及により初期の大きな投資なしに高機能なシステムを利用できるようになっています。コンテンツ制作費は、制作する内容と量により大きく変動しますが、初回制作費として10万円から50万円程度を見込んでおくことが一般的です。

●デジタルサイネージの初期費用を安く抑えるための方法はこちら

デジタルサイネージの初期費用を安く抑えるための方法

継続的な運用コストの検討

導入後の継続的な運用コストも、投資判断において重要な要素です。保守・サポート費用は、機器費の年間10〜15%程度が相場となっています。これには、機器の故障対応、ソフトウェアのアップデート、技術サポートなどが含まれます。

コンテンツの継続的な更新にかかる費用も考慮する必要があります。内製でコンテンツを制作する場合は人件費が、外部委託する場合は制作費が継続的に発生します。ただし、多くの企業では導入後に内製化を進めることで、この費用を削減しています。

電気代などのランニングコストは、最新のLEDディスプレイの省電力性能向上により、大幅に抑えられています。一般的な50型ディスプレイで月額1000円程度と、従来の液晶ディスプレイと比較して大幅に削減されています。

投資対効果の具体的算出

デジタルサイネージの投資対効果は、コスト削減効果と業務効率化効果の両面から評価できます。コスト削減効果では、従来の印刷費が年間20万円から100万円程度削減され、掲示作業にかかる人件費も年間50万円から200万円程度の削減が期待できます。

情報伝達効率の向上による定性的効果も重要な要素です。情報伝達率が50%から85%に向上することで、重要な情報の見落としによるトラブルの減少や、迅速な意思決定による業務効率化が実現されます。社内アンケートによる満足度向上や従業員エンゲージメントスコアの改善なども、長期的な組織力向上に寄与します。

多くの企業では、導入から12〜18ヶ月程度で投資回収が達成されており、その後は継続的な価値創出フェーズに入ります。特に、複数拠点を持つ企業や情報発信の頻度が高い企業では、より短期間での投資回収が可能になっています。

 

まとめ

多様な働き方が進む中、従来の情報共有手段では限界がある今、サイネージは新しい情報インフラとして注目されています。導入にあたっては、「何のために使うか」を明確にすることが重要です。情報伝達の効率化やコミュニケーション活性化など、目的に応じて設置場所やコンテンツ戦略を設計できます。設置場所は、人の動線や滞留時間を踏まえて検討することで効果を高められます。

近年は導入コストも下がっており、小規模からのスタートで検証を重ねながら段階的に展開することが可能です。情報発信の質を変える手段として「社内向けデジタルサイネージ」の導入は有力な選択肢といえるでしょう。

 

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参考文献・引用文献

オフィスなどの社内でデジタルサイネージを導入する4つのメリット | リコー https://www.ricoh.co.jp/special/signage-officesignage
オフィスサイネージ | 大塚商会 https://www.otsuka-shokai.co.jp/products/digital-signage/uses/office/
デジタルサイネージ社内導入事例~社内実践から生まれたノウハウやアイデアを凝縮。リコーグループの働き方改革実践事例

 https://www.ricoh.co.jp/special/signage-case-2103
*⁴社内ネットワークでデジタルサイネージを活用する方法 https://www.iodata.jp/ssp/magazine/288/index.htm
*⁵サイネージ導入でオフィスを活性化!注目の理由と効果を紹介|コクヨのコラム https://www.kokuyo-furniture.co.jp/contents/signage-office.html

この記事を書いた人
デジタルサイネージディレクター:t.takita
映像制作のエキスパートでありながら、配信システムの提案からサイネージ機器の選定まで、サイネージディレクターとしても活動している。 サイネージ業界で培った経験をもとに魅せるコンテンツの提案からロケーションに合わせたサイネージの提案までを実績ベースにてゴールに導きます。

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