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By デジタルサイネージディレクター:t.takita Posted

費用だけで判断すると危険!屋外で大型デジタルサイネージを導入する前に確認すべきこと

デジタルサイネージの導入を検討している担当者の皆様にとって、特に屋外での大型サイネージの設置は投資判断が難しい分野ではないでしょうか。適切なサイズ選択や費用対効果の見極めは、導入を成功させるための鍵となります。本記事では、デジタルサイネージディレクターとしての豊富な実績をもとに、屋外大型デジタルサイネージの価値と導入成功への道筋を詳しく解説します。

 

屋外大型デジタルサイネージの基本

大型サイネージの定義と規模感

本記事では、屋外大型デジタルサイネージを70インチ以上の大画面ディスプレイを使用した屋外対応の電子看板システムとして位置付けて解説します。従来の印刷物による看板とは根本的に異なり、動画コンテンツやリアルタイム情報の配信が可能で、遠距離からでも高い視認性を確保できることが特徴です。

インチサイズによる効果の違い

中型サイズ(32~69インチ): 近距離での情報伝達が中心で、店頭や受付などの身近な場所での案内用途に適しています。

大型サイズ(70~99インチ): 遠距離からの視認性が大幅に向上し、100メートル以上離れた場所からでも内容を認識できます。駅前や商業施設での活用に効果的です。

超大型サイズ(100インチ以上): 高速道路沿いや大規模施設での広域訴求が可能となり、その効果は飛躍的に向上します。ランドマーク的な存在として機能します。

屋外環境への対応が生む価値

屋外での使用を前提とした設計により、24時間365日の連続稼働が可能となります。これまで夜間や悪天候時には効果が限定されていた従来の看板に対し、常時安定した情報発信ができることで、投資効果を最大化できるのです。また、季節や時間帯に応じたコンテンツ配信により、ターゲットに最適化されたメッセージ伝達が実現します。

 

性能と効果で選ぶ技術要件のポイント

高輝度ディスプレイの必要性

屋外での視認性を確保するために最も重要な要素が輝度です。屋内用デジタルサイネージが350~700cd/m²程度であるのに対し、屋外用では最低1,200cd/m²以上、一般的には1,500~3,000cd/m²の高輝度が求められます。特に大型サイネージでは遠距離からの視認性が重要となるため、2,500cd/m²以上の輝度を確保することで、日中の直射日光下でも鮮明な映像表示が可能になります。

●輝度の基礎は、こちらの解説をご覧ください

サイネージディスプレイの明るさの単位「輝度」とは?

液晶ディスプレイの特性と適用場面

液晶ディスプレイは高解像度での精細な映像表現に優れており、70~98インチサイズまでの単体パネルに対応しています。複数台を組み合わせたマルチディスプレイ構成により、さらなる大画面化も実現可能です。消費電力が比較的少ないため、長期間の運用コストを抑制できる利点があり、詳細な情報表示が必要な用途に適しています。

LEDディスプレイの優位性

LEDディスプレイは超高輝度特性により、直射日光下でも優れた視認性を発揮します。モジュールを組み合わせる構造により任意のサイズに対応でき、屋外環境での耐久性も非常に高いのが特徴です。液晶ディスプレイよりも高い輝度を実現できるため、特に日照条件の厳しい立地での設置に威力を発揮し、遠距離からの注目度向上に貢献します

IP保護等級による防水・防塵対策

IP保護等級(Ingress Protection)は、電子機器が粉塵や水に対してどの程度保護されているかを示す国際規格です。数値が大きいほど高い防塵・防水性能を備えており、設置環境や気象条件に応じて適切なレベルを選ぶことが重要です。

IP53レベル

半屋外(軒下等)でのサイネージ導入の基準として推奨される水準です。上部から60°以内の噴霧された水に対する防護があり、直径75 μm程度の粉塵の侵入に対しても正常な動作と安全性が保たれる程度の防塵性能を備えています。豪雨や台風時には軒下や屋内へ退避させることをおすすめします。

IP55レベル

常設の屋外でのサイネージ導入において、一般的な防水・防塵水準であり、多くの屋外用途で十分な性能を発揮する基本的な保護レベルです。

IP56・IP66レベル

台風級の強風・豪雨にも対応でき、沿岸部や山間部など過酷な環境でも安定稼働が可能です。

IP68レベル

完全防水レベルの最高等級で、水没にも耐えられる特殊環境向けの保護性能を備えています。

大型サイネージでは本体の重量も大きいため、構造的な強度必要な防塵・防水レベルとのバランスを慎重に考慮することが重要です。設置場所や気象条件を想定したうえで、適切な保護等級を選ぶことが望まれます。

●IP規格についてさらに詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

屋外用サイネージディスプレイを選ぶ時の注意点

温度管理システムの設計

屋外環境では季節による大幅な温度変化への対策が不可欠です。夏季には内部冷却ファンの装備や遮熱フィルムの使用により、直射日光による過熱を防止します。冬季対策としては内蔵ヒーターによる結露防止機能や低温起動機能が重要となり、霜や雪の付着を防ぐ設計工夫も必要です。これらの温度管理により、年間を通じた安定稼働を実現できます。

 

屋外大型デジタルサイネージ導入の具体的メリット

圧倒的な視認性による集客効果

70インチを超える大画面は遠距離からの視認性に優れ、人通りの多い駅前や幹線道路沿いでの設置効果を最大化します。デジタルサイネージの特性として、動画や音声を活用できることにより従来の静的な看板と比較して格段に高い注目度を獲得できます。この高い注目度により、ブランド認知度向上や来店促進効果が大幅に改善され、投資に見合う成果を期待できます。

リアルタイム情報更新の運用価値

従来の看板やポスターでは情報更新のたびに現地作業が必要でしたが、デジタルサイネージなら遠隔からの一括管理が可能です。複数拠点の同時更新や時間帯別の自動コンテンツ切り替え、緊急情報の即座配信など、柔軟な運用により情報発信効果を最大化できます。天候連動型コンテンツの配信により、状況に応じた最適なメッセージ伝達も実現します。

長期的なコストパフォーマンス

初期投資は高額ですが、運用期間全体で評価すると経済性に優れています。従来看板と比較した場合、印刷費や施工費の削減効果、人件費の工数削減が可能です。デジタル化により、コンテンツ制作から配信まで効率的な運用体制を構築でき、長期的な投資効果は非常に高いといえます。

多彩なコンテンツ表現による訴求力向上

大画面を活かした表現手法により、従来媒体では困難だった訴求が可能になります。分割表示による異なる情報の同時配信、動画による動的な表現、タッチ対応による双方向性の実現など、多彩な表現方法が利用できます。多言語対応による自動切り替え機能により、国際化への対応も容易に実現でき、幅広いターゲット層へのアプローチが可能です。

災害時の地域貢献機能

大型デジタルサイネージは平常時の広告媒体としてだけでなく、災害時の重要な情報発信拠点としても機能します。避難経路の案内表示、交通機関の運行状況、避難所の開設情報、安否確認システムとの連携など、地域の防災インフラとしての価値も併せ持ちます。この社会貢献機能により、企業イメージの向上効果も期待できるのです。

 

業界別の活用例と期待効果

商業施設での活用

大型商業施設のエントランスやコンコースに設置される大型液晶マルチディスプレイは、来客の回遊性向上に寄与することが期待されます。季節イベントの告知や店舗案内の動的表示により、来場者の施設内滞在時間の延長効果が見込まれます。コンビニエンスストアチェーンでは店舗前面への高輝度液晶設置により、新商品やキャンペーンの認知度向上と購買促進への活用が進んでいます。

交通・観光業界での導入

駅前や交通拠点に設置されるLEDビジョンシステムでは、交通案内、観光情報、天気予報などの複合表示により、利用者の利便性向上が実現されています。観光地では多言語対応のタッチパネル式大型ディスプレイの導入により、外国人観光客へのサービス向上と地域情報の効果的な発信が可能となります。これらの取り組みは地域活性化への貢献も期待され、自治体からの関心も高まっています。

企業ブランディングでの活用

企業の本社ビルや主要拠点の外壁に設置される大型LEDビジョンは、企業ブランドの認知度向上と企業イメージの訴求に活用されています。動画による企業メッセージの配信により、従来の静的な看板では表現困難だった企業文化や事業内容の効果的な発信が可能となります。特に若年層に対するブランド認知向上効果が期待され、採用活動の一環としても注目されています。

 

導入成功に向けた検討項目

設置環境の詳細調査

成功する導入のためには、設置環境の綿密な事前調査が不可欠です。年間を通じた太陽軌道の把握により、最適な設置角度や輝度設定を決定できます。反射光の影響調査や周辺建物による陰の影響も重要な要素であり、これらを総合的に評価することで最適なディスプレイ仕様を選定できます。過去の気象データ分析により、風力や降水量への対策も適切に講じることができます。

法規制への適切な対応

屋外広告物条例や建築基準法などの関連法規制への対応は、導入成功の前提条件となります。大型サイネージでは設置面積の制限、輝度の上限値、動画表示の可否、設置期間の制限など、多岐にわたる規制事項を事前に確認する必要があります。自治体との事前協議を十分に行い、必要な許可手続きを適切に進めることで、トラブルのない導入が実現できます。

運用体制の構築

継続的な運用成功のためには、適切な体制構築が重要です。コンテンツ制作を内製化するか外注するかの判断では、更新頻度や品質管理体制を総合的に考慮する必要があります。定期点検スケジュールの策定、故障時の対応フローの整備、予備機材の確保など、保守・メンテナンス計画の充実により長期安定運用が実現できます。

機器選定における重要ポイント

信頼性の高いメーカー選択では、屋外設置の実績数、アフターサポート体制の充実度、部品供給体制の安定性、技術的サポートの専門性を重視することが重要です。将来拡張性の考慮も欠かせず、4K/8K対応の可否、ネットワーク機能のアップデート対応、追加ディスプレイとの連携可能性、IoT機器との接続対応など、長期的な視点での機器選定が求められます。

 

投資効果を最大化する運用戦略

コンテンツ戦略の重要性

大型サイネージの真の価値は、その大画面を活かした効果的なコンテンツ戦略にあります。ターゲット層の行動パターンに合わせた配信タイミングの最適化により、メッセージの到達率を最大化できます。季節やイベントに応じたコンテンツ変更、時間帯別の自動切り替え機能の活用により、常に最適な情報発信が可能になります。動画とスチル画像の効果的な組み合わせにより、注目度と記憶定着率の向上を図ることができます。

●デジタルサイネージコンテンツの種類とその重要性の記事はこちら

【無料素材付】初心者でも失敗しない!デジタルサイネージコンテンツ作成の教科書

保守・メンテナンス戦略

長期安定運用のためには、予防保全を重視したメンテナンス戦略が重要です。定期的な清掃と点検により、ディスプレイの輝度低下や汚れによる視認性悪化を防止できます。温度管理システムの定期チェック、防水・防塵機能の確認により、突発的な故障リスクを最小化できます。リモート監視システムの活用により、異常の早期発見と迅速な対応が可能になり、稼働率の向上を実現できます。

 

まとめ

屋外大型デジタルサイネージは、適切な導入と運用により従来の広告媒体を大きく上回る効果を発揮する革新的なツールです。成功への道筋は、環境に適した機器選定、戦略的なコンテンツ運用、包括的なサポート体制という三つの要素に集約されます。

設置環境に応じた適切な輝度、防水・防塵レベル、温度対策機能を備えた機器選定が成功の基盤となります。大画面の特性を活かした魅力的なコンテンツ制作と、ターゲットに応じた配信タイミングの最適化により、投資効果を最大化できます。導入から運用、保守まで一貫したサポート体制により、長期間にわたる安定稼働と継続的な効果向上を実現できるのです。

デジタルサイネージディレクターとしての豊富な実績から、事前の綿密な計画と適切なパートナー選択により、必ず投資効果の高い屋外大型デジタルサイネージの導入が実現できると確信しています。導入をご検討の際は、専門家との十分な協議により、最適なソリューションを見つけていただければと思います。

 

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「効果的な運用を始めたい」「現在の運用に課題を感じている」という方は、ぜひお気軽にご相談ください。


参考文献・引用文献

リコー「大型デジタルサイネージの活用例から学ぶ導入効果」 https://www.ricoh.co.jp/products/line-up/digital-signage/column/large_screen

 

大塚商会「デジタルサイネージの効果測定」 https://www.otsuka-shokai.co.jp/products/digital-signage/means/advertisement-effect/

この記事を書いた人
デジタルサイネージディレクター:t.takita
映像制作のエキスパートでありながら、配信システムの提案からサイネージ機器の選定まで、サイネージディレクターとしても活動している。 サイネージ業界で培った経験をもとに魅せるコンテンツの提案からロケーションに合わせたサイネージの提案までを実績ベースにてゴールに導きます。

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