STAFF BLOG
スタッフブログ
公開日: 更新日:
By デジタルサイネージディレクター:t.takita Posted

知らなきゃ損!屋外デジタルサイネージの価格と落とし穴

近年、商業施設や交通機関、公共施設などでデジタルサイネージの導入が急速に進んでいます。特に屋外に設置するデジタルサイネージは、従来の看板に代わる効果的な広告・情報発信ツールとして注目を集めています。しかし、屋外用デジタルサイネージの導入を検討する際に最も気になるのが「価格」ではないでしょうか。

本記事では、屋外デジタルサイネージの導入に必要な費用の詳細から、価格相場、コスト削減のポイントまで、サイネージディレクターの経験をもとに実用的な情報をお届けします。

 

 

デジタルサイネージとは

デジタルサイネージとは、液晶ディスプレイやLEDディスプレイなどの電子機器を使用して、動画や静止画、テキスト情報を表示する電子看板システムのことです。従来の紙媒体のポスターや看板とは異なり、リアルタイムでコンテンツを更新でき、動画や音声を活用したダイナミックな表現が可能です*1

デジタルサイネージの最大の特徴は、インターネット経由でコンテンツを遠隔管理できることです。これにより、複数の場所に設置されたサイネージを一元的に管理し、時間帯や曜日に応じて自動的にコンテンツを切り替えることも可能となります。店舗の販促活動、施設の案内表示、公共交通機関の運行情報など、幅広い用途で活用されています。

 

屋外用と屋内用の違い

屋外用デジタルサイネージと屋内用では、設置環境の違いにより求められる機能や仕様が大きく異なります。

屋外用デジタルサイネージは、直射日光、雨風、温度変化、粉塵などの過酷な環境に耐える必要があります*2。そのため、防水・防塵機能(IP規格)、耐候性、高輝度表示機能などが必須となります。特に輝度に関しては、屋内用が一般的に300~700cd/㎡程度であるのに対し、屋外用では2,000~8,500cd/㎡の高輝度が求められます*3。これは、太陽光の下でも視認性を確保するために不可欠な仕様です。

また、屋外用は筐体の耐久性も重要な要素です。強化ガラスの採用、アルミニウム合金製の筐体、内部の温度調整機能(ファンやヒーター)など、長期間の安定稼働を実現するための設計が施されています。これに対して屋内用は、比較的安定した環境下で使用されるため、これらの特別な機能は必要最小限に抑えられています。

 

デジタルサイネージ導入に必要な費用の内訳

導入費用内訳

デジタルサイネージの導入費用は、主に以下の要素から構成されます。

ディスプレイ本体費用は、導入費用の中で最も大きな割合を占める項目です。サイズ、解像度、輝度、防水・防塵性能などの仕様により価格が大きく変動します*4。屋外用の場合、特に高輝度ディスプレイや強化ガラス、防水機能などが価格に大きく影響します。

再生機器費用には、STB(セットトップボックス)、メディアプレーヤー、または単純なUSBメモリなどが含まれます。STBは高機能なスケジュール配信や遠隔管理機能を提供する一方、USBメモリは簡単なコンテンツ再生に特化した低コストな選択肢です*5

コンテンツ管理システム(CMS)費用は、複数のサイネージを効率的に管理するために不可欠です。クラウド型CMSの場合、初期費用を抑えつつ柔軟な運用が可能ですが、月額利用料が発生します。

設置工事費用は、設置方法や場所により大きく変動します。壁掛けや天吊りの場合は専用金具の取り付け工事が必要となりますが、スタンド型の場合は工事費用を大幅に削減できます*1

コンテンツ制作費用は、動画や静止画の品質や制作方法により幅があります。テンプレートを使用した簡単な制作から、プロのクリエイターによる本格的な映像制作まで、目的と予算に応じて選択が可能です。

運用費用

デジタルサイネージの運用には、以下のような継続的な費用が発生します。

電気代は、ディスプレイのサイズや輝度、設置台数により決まります。一般的な42型ディスプレイの場合、月額2,000円以下程度が目安となります*6。ただし、屋外用の高輝度ディスプレイは消費電力が大きく、電気代も高くなる傾向があります。

コンテンツ更新費用は、更新頻度や制作方法により変動します。CMSを導入している場合、自社でのコンテンツ更新が容易になり、外部委託費用を削減できます。

保守・メンテナンス費用は、機器の安定稼働を維持するために重要です。特に屋外設置の場合、定期的な清掃やハードウェアの点検が必要となります。

ネットワーク利用料は、クラウド型システムを使用する場合に必要です。インターネット回線の月額基本料金に加え、データ通信量に応じた費用が発生する場合があります*7

 

屋外デジタルサイネージの価格相場

導入費用

一般相場

屋外デジタルサイネージの導入費用は、屋内用と比較して大幅に高額になります。一般的な価格相場として、屋内用ディスプレイが10~40万円程度であるのに対し、屋外用では50~300万円程度が目安となります*8。この価格差は、前述した屋外ディスプレイの特別な仕様によるものです。

具体的なサイズ別の相場を見ると、32インチの屋外用ディスプレイで20~60万円程度、55インチでは50~150万円程度となります*7。100インチを超える大型ディスプレイでは300万円以上が一般的です。

屋外サイネージの種類ごとの相場

屋外デジタルサイネージには、主に液晶ディスプレイタイプとLEDビジョンタイプの2種類があり、それぞれ価格帯と適用場所が大きく異なります。

液晶ディスプレイタイプ

比較的コストを抑えて導入できる選択肢です。32インチから65インチ程度の中小型サイズが中心で、価格は30万円から125万円程度です*8。液晶ディスプレイは高精細な表示が得意で、至近距離での視認性に優れています。

このタイプは、店舗の入口付近、バス停やタクシー乗り場の案内表示、商業施設のエントランス、レストランのメニュー表示などに最適です。特に、顧客が歩いて通り過ぎる際に詳細な情報を伝えたい場面や、文字情報を重視する用途に向いています。ただし、LEDビジョンと比較すると輝度が劣るため、直射日光の強い南向きの壁面など、強い太陽光が当たる場所では視認性の確保が課題となる場合があります。

●「ワイス矯正歯科様」様の記事はこちら

ワイス矯正歯科様

LEDビジョンタイプ

高輝度で遠距離からの視認性に優れており、大型サイネージに適しています*9。LEDピクセル自体が発光するため、液晶ディスプレイの5倍以上の輝度を実現できます。価格は100万円~数千万円と幅広く、ピクセル間の距離(ピッチ)やサイズにより大きく変動します。P10(10mmピッチ)の場合、適正視認距離は約11メートルとなり、大型屋外広告に最適です*10

LEDビジョンは、高速道路沿いの大型広告、駅前広場やターミナルビルの大型案内表示、スポーツスタジアムの観客席向け表示、イベント会場のメインスクリーンなどに活用されます。車で通行する人々へのアピールや、数十メートル離れた場所からの視認性が求められる用途に特に効果的です。また、コンサートや展示会などの一時的なイベントでも、インパクトのある演出効果を発揮します。

プロジェクションタイプ

建物の壁面やスクリーンに映像を投影する方式で、10万円から80万円程度が相場です*11。設置の自由度が高く、既存の建物を活用できるメリットがあります。

このタイプは、商業施設の外壁を活用したプロモーション映像、歴史的建造物への演出投影、屋外イベントでの大画面映像表示、仮設会場での情報提供などに適用されます。特に期間限定のキャンペーンや季節イベントでの活用に向いており、投影面積を自由に調整できるため、コストパフォーマンスに優れています。ただし、屋外での使用には明るさや天候の影響を考慮する必要があり、夕方以降の時間帯での効果が高くなります。

運用費用

一般相場

屋外デジタルサイネージの運用費用は、月額で見ると数万円から十数万円程度が一般的です。この金額には、電気代、コンテンツ更新費用、保守費用、ネットワーク利用料などが含まれます。

電気代については、42型の屋外用高輝度ディスプレイで月額3,000円から5,000円程度が目安となります*6。これは屋内用の約2倍から3倍に相当します。大型のLEDビジョンの場合、消費電力がさらに高くなるため、月額数万円の電気代が発生することもあります。

運用費用を左右する要素

コンテンツの更新頻度と制作方法

毎日異なるコンテンツを配信する場合と、月に数回の更新では、年間のコンテンツ制作費用に数十万円の差が生まれます。

CMSの選択

高機能なクラウド型CMSの場合、月額1万円から3万円程度の利用料が発生しますが、コンテンツ制作の効率化や管理の簡素化により、トータルコストの削減につながる場合が多くあります*4

保守・メンテナンス費用

保守・メンテナンス費用は設置環境により大きく変動します。海沿いや工業地帯など、塩害や粉塵の影響を受けやすい環境では、より頻繁な清掃や部品交換が必要となり、年間保守費用が20万円から50万円程度に達することもあります。

 

費用削減方法

屋外デジタルサイネージの導入・運用費用を削減するためには、戦略的なアプローチが必要です。

レンタル・リースの活用は、初期費用を大幅に削減できる有効な手段です。特に期間限定のキャンペーンや試験導入に適しており、月額レンタル料は購入価格の3%から5%程度が相場です*2。メンテナンス費用も含まれている場合が多く、予算計画が立てやすいメリットがあります。

●レンタルと購入の違いについてはこちら

デジタルサイネージ導入ガイド 購入 vs レンタル完全比較

自社コンテンツ制作も有効です。PowerPointやCanvaなどの汎用ツールを活用することで、外部委託費用を年間数十万円削減できます*6。動画コンテンツについても、無料の編集ソフトウェアを活用することで大幅なコストダウンが可能です。

●無料のパワーポイントテンプレートのダウンロードはこちら

無料サイネージデザインテンプレート

クラウド型CMSの選択により、初期導入費用とランニングコストの両方を削減できます。オンプレミス型では数百万円の初期投資が必要ですが、クラウド型なら月額数千円から利用開始でき、システムの保守・更新も自動で行われます。

●デジタルサイネージの導入費用を安く抑えたい方はこちら

デジタルサイネージの初期費用を安く抑えるための方法

 

導入する際のポイント

屋外デジタルサイネージの導入を成功させるためには、技術的要件と運用面の両方を考慮した総合的な検討が必要です。単に値段の安いものを選んでしまうと、結果的に損失につながってしまうこともあります。

設置場所の環境調査

直射日光、気温変化、降雨量、風速、塩害の可能性などを詳細に調査し、適切な仕様の機器を選択する必要があります。環境条件に適さない機器を選択した場合、頻繁な故障により結果的に高いコストが発生します。

法的要件の確認

屋外広告物条例、建築基準法、電気事業法などの関連法規制の確認と必要な許可の取得が必要です*12。大型LEDビジョンの場合は、近隣住民への配慮や光害対策も重要な検討事項となります。

保守・メンテナンス体制の構築

長期的な安定運用が可能になります。24時間監視体制、迅速な故障対応、定期メンテナンススケジュールなど、包括的なサポート体制の事前整備が重要です。

コンテンツ戦略の策定

ターゲット層の分析、視認時間の想定、効果測定方法の確立など、デジタルサイネージの特性を活かした戦略的アプローチが必要です。優れた技術システムでも、魅力的なコンテンツがなければ期待する効果は得られません。

信頼できるベンダーの選択

長期的な成功が左右されます。単純な価格比較ではなく、導入実績、アフターサポート体制、技術力、財務安定性を総合的に評価し、長期的なパートナーとして信頼できる業者を選択することが重要です*13

 

まとめ

屋外デジタルサイネージの導入は、従来の看板に代わる効果的な情報発信手段として大きな可能性を秘めています。しかし、その投資効果を最大化するためには、適切な価格理解と戦略的なアプローチが不可欠です。

導入費用については、屋外用特有の高耐久性・高輝度要件により、屋内用の3倍から5倍程度の費用が必要となることを理解しておくことが重要です。液晶ディスプレイタイプで50万円から150万円、LEDビジョンタイプで100万円から数千万円という価格帯を踏まえ、用途と予算に応じた最適な選択を行う必要があります。

運用費用についても、電気代、コンテンツ制作費、保守費用など、継続的に発生するコストを事前に見積もり、長期的な収支計画を策定することが大切です。

Disitでは、お客様に合った最適な屋外デジタルサイネージをご提案します。まずはお気軽にご相談ください。

 

専門家によるサポートを活用しませんか?

私たちはデジタルサイネージの導入から運用体制構築まで、トータルでサポートしています。
「効果的な運用を始めたい」「現在の運用に課題を感じている」という方は、ぜひお気軽にご相談ください。


参考文献・引用文献

*1 ITSCOMビジネス. 「デジタルサイネージの価格相場はいくら?導入や運用にかかる費用」https://www.itscom.co.jp/forbiz/column/signage/182/

*2 電音エンジニアリング「デジタルサイネージの価格相場は10〜300万円!屋内・屋外の違いや自作・レンタルで費用を抑える方法も紹介」https://denon-eng.jp/tips/video-t/digitalsignage_price/

*3 デジタルデザインサイネージ「デジタルサイネージを屋外に設置する前に確認すべきこと」https://d-d-s.jp/2019-05-15_1198/

*4 リコー「デジタルサイネージの価格相場をご紹介」https://www.ricoh.co.jp/products/line-up/digital-signage/column/market-price

*5 デジタルサイネージをはじめよう「デジタルサイネージの価格」https://start-digital-signage.info/price/

*6  NGC Corporation. 「デジタルサイネージの導入にかかる価格はどれくらい?運用コストと合わせて解説」 https://hgx.co.jp/column/how-much/

*7 フィットサイネージ「知っておきたいデジタルサイネージの価格相場|導入・運用費用は?」https://fit-signage.isb.co.jp/column/detail02/

*8 LED TOKYO「デジタルサイネージの価格はどれくらい?屋外用・タッチパネル式・床用など種類別に相場を紹介!」https://led.led-tokyo.co.jp/news/cash/

*9 LED TOKYO「LEDビジョンとデジタルサイネージの違いは? 事例や導入方法、おすすめの人なども解説!」https://led.led-tokyo.co.jp/news/ledvisionvsdigitalsignage/

*10 リコー「デジタルサイネージ用の大型ディスプレイの導入ならLEDビジョン|リコーがワンストップでトータルサポート!LEDビジョン・LEDサイネージの導入をワンストップでサポート」https://www.ricoh.co.jp/special/signage-ledvision

*11 CAST SERIES「デジタルサイネージの価格はいくら?費用相場や内訳、安く導入するポイントも解説!」https://cast-series.com/featured/24901/digital-signage-cost/

*12 アメイジングポケット「防塵防水仕様で安心!屋外用デジタルサイネージ」https://www.amazing-pocket.com/digital-signage/Outdoor_signage.html

*13 「デジタルサイネージの価格相場を徹底解説!種類・特徴別にご紹介!」https://www.proteras.co.jp/blog/1573/

この記事を書いた人
デジタルサイネージディレクター:t.takita
映像制作のエキスパートでありながら、配信システムの提案からサイネージ機器の選定まで、サイネージディレクターとしても活動している。 サイネージ業界で培った経験をもとに魅せるコンテンツの提案からロケーションに合わせたサイネージの提案までを実績ベースにてゴールに導きます。

Disitのコンテンツ制作事例

STAFF BLOG

スタッフブログ

DISIT(ディジット)のスタッフが書くブログ。


NEWS

お知らせ

製品・サービスのプレスリリース、実績追加、イベント出展などのお知らせ。