By デジタルサイネージディレクター:t.takita Posted
デジタルサイネージのSTBとは?効果的な運用を実現する選び方完全ガイド
駅やお店で見かける動く看板「デジタルサイネージ」。キレイな映像や文字で情報を伝えてくれる便利なシステムの裏で、実は「STB(セットトップボックス)」という機械が重要な役割を果たしています。
「STBって何?聞いたことはあるけど…」「サイネージを始めたいけど、STBって本当に必要なの?」そんな疑問をお持ちの方も多いはず。
実は、STBのことをしっかり理解しているかどうかで、サイネージの成功が決まると言っても過言ではありません。適切なSTBを選択することで、コンテンツの安定配信、効率的な管理、さらには後から機能を追加することもできます。
この記事では、STBの基本から選び方のコツまで、分かりやすく解説していきます。
目次
STBって何?サイネージの心臓部を理解しよう
STBの基本を理解しよう
STB(セットトップボックス)とは、デジタルサイネージで映像や画像を映すための小型端末のことです*1。昔はケーブルテレビの受信機として知られていましたが、現在ではサイネージの「司令塔」として活躍しています*2。
見た目は黒くてシンプルな小さな箱ですが、この中には高度な機能が詰め込まれています。インターネット経由で映像や画像を受け取って、ディスプレイに合う形に変換して表示してくれる、いわばサイネージの『頭脳』として機能しています*3。
なぜSTBが必要なのか
「ディスプレイさえあればサイネージできるのではないか?」と思う方も多いでしょう。確かに、ただ映像を流すだけなら可能ですが、実際にお店や施設でサイネージを使う際には、以下のような機能が求められます*4。
- 時間に合わせて自動で内容を切り替えたい
- 複数のお店を一度に管理したい
- すぐに新しい情報に更新したい
- 24時間安定して動いてほしい
これらを実現するには、ディスプレイだけでは限界があります。STBがあることで、単なる「表示画面」が「情報発信ツール」に変身するわけです。
STBでできることは?
映像・画像の再生機能
STBの一番基本的な仕事は、多様な形式のファイルを受け取り、ディスプレイで見やすく表示してくれることです。写真、動画、PowerPointの資料など、さまざまな形式のファイルに対応し、画面のサイズに合わせた自動調整も行えます*5。
4K対応のSTBなら、美しい高画質映像も鮮明に表示でき、大きなディスプレイでも美しい画面を保てます。また、音声出力にも対応しているため、BGMや効果音を含むコンテンツの再生も可能です。
時間割機能(スケジュール配信)
時間割機能は、現代のサイネージで非常に重要な機能です*5。朝は通勤の人向けの情報、お昼は飲食メニュー、帰宅客向けの広告といった具合に、時間や曜日に応じて自動で内容を切り替えることができます。
さらに高度なSTBでは、特定の日付や期間限定での配信設定も可能で、キャンペーンやイベント告知などタイムリーな情報発信にも便利です。
遠隔管理・監視機能
STBをネットワークに接続することで、オフィスにいながら全国のサイネージを一括で管理できます*5。新しい映像の配信はもちろん、端末の稼働チェックや、エラーの通知、再起動なども可能です。
各店舗にわざわざ人を置く必要がないため、効率的な運用が実現でき、トラブル対応も迅速に行えるためダウンタイムを最小限に抑えられます。
STBの種類と選び方のコツ
スタンドアロン型とネットワーク型
STBには大きく分けて「オフライン型(スタンドアロン型)」と「オンライン型(ネットワーク型)」の2つの配信形式があります*2。
スタンドアロン型は、USBメモリやSDカードに保存したコンテンツを再生する方式です。インターネット接続が不要で初期費用を抑えられますが、コンテンツ更新には現地での作業が必要となります。小規模運用や更新頻度の低い場合に適しています。
ネットワーク型は、インターネット経由で映像を配信・管理する方式です。遠隔で一括管理や自動更新もできるため、複数店舗を運営している場合や頻繁な更新が必要な場合に最適です。ただし、安定したネット環境と通信費が継続的にかかります。
●2つの配信形式の違いやメリットなど、詳しく知りたい方はこちら
OSによる分類
STBに入っているOS(基本ソフト)も選択のポイントです*2。
Android OS搭載型は、導入コストが比較的安く、軽くて使いやすいのが特徴です。アプリのインストールが容易で、簡単なサイネージ運用には十分な機能を持っています。
Windows OS搭載型は、PowerPointやExcelなどのOfficeアプリケーションとの連携に優れ、既存の社内システムとの親和性が高いです。複雑なコンテンツ管理や複数画面の制御が必要な大規模運用に向いています。
性能面でチェックすべきポイント
STBを選ぶときに確認したい主な項目はこちらです:
画質対応:使用するディスプレイに合わせて、フルHD/4K対応から選択。大きなディスプレイや複数画面なら高画質対応が必要です。
対応ファイル形式:再生したいファイル形式(MP4、JPEG、HTML等)にちゃんと対応しているかチェックしましょう。
ネットワーク対応:有線LAN、Wi-Fi、携帯回線など、設置場所に合った通信方法を選びます。
保存容量:コンテンツの一時保存やキャッシュ機能のために、十分な容量があると安心です*2。
STBを使わないとどうなる?他の方法との比較
PCやタブレットとの違い
「パソコンやタブレットでも同じことできるのではないか?」と思われがちですが、実際にはいくつかの重要な違いがあります*2。
パソコンやタブレットは機能が豊富な反面、サイネージには過剰な性能となりがちです。また長時間の連続稼働には向かず、発熱やシステムの不安定化が起こりやすいです。
一方、STBはサイネージ専用に作られているので、必要な機能に特化し、24時間365日の安定稼働にも対応しています。複数台の管理も容易です。
SoC内蔵ディスプレイとの使い分け
最近では、STB機能を内蔵したSoC(System on Chip)ディスプレイも登場しています*1。これらは設置の簡略化や省スペース化には有効ですが、少し注意が必要です。
STBが故障した場合は端末の交換のみで済みますが、SoC内蔵タイプはディスプレイ全体の交換が必要になることもあります。長期運用を考えると、STBを別途設置する方がコスト効率が良い場合も多いです。
運用シーン別で選ぶSTB
個人店舗や小規模店舗の場合
個人店舗や小規模な店舗の場合、コストを抑えつつ必要な機能をしっかり確保したいですよね。Android OS搭載のエントリーモデルSTBで、基本的なスケジュール配信や遠隔更新ができれば十分でしょう。
Wi-Fi対応モデルなら配線工事も不要で、導入のハードルが大幅に下がります。メニュー表示や営業時間のお知らせ、簡単なプロモーション動画などを手軽に活用できます。
大田区最大級規模の個別指導塾「個別指導塾 イクシード」では、屋外サイネージでは新規入会向けにコンテンツを絞り、一方で屋内サイネージでは既存会員向けのインフォメーション端末としての活用がされています。
●「個別指導塾 イクシード」様の記事はこちら
大規模チェーン店舗の場合
全国展開するチェーン店では、一括管理と安定性が何より大事です。Windows搭載の高性能STBを選び、クラウド型CMSとの連携で全店舗を統一的に管理できます。
これにより、各店舗で統一したブランドイメージを維持・演出できます。またキャンペーン情報の一斉配信や、リアルタイムでの在庫情報の更新などの高度な運用も可能なため、最初の投資は大きくなりますが、運用効率が上がり人件費も削減できるので、長期的にはお得です。
三笠会館が展開するイタリアンレストラン「AGIO」各店舗では、複数の店舗で同一の配信システムを活用したサイネージ運用を行っています。これにより、異なる店舗においても「その店らしさ」を感じさせ、ブランドの統一されたイメージの演出に貢献しています。
●三笠会館「AGIO」様の記事はこちら
駅や公共施設の場合
駅や空港、市役所などでは、確実性と継続性が求められます。冗長化機能やオフライン対応、緊急時の割り込み配信機能などを備えた業務用STBが適しています。
また、多言語対応や視覚障害者向けの音声出力機能なども重要な要素です。
茨城県水戸駅にある「マイムビル」では、ビルの壁面に大型サイネージを設置しています。こちらのサイネージの配信システム「signadia」には災害危機通報サービスが搭載されており、受信した災害情報をLEDビジョンに映し出すことが可能です。
●水戸駅前「マイムビル」様の記事はこちら
STB導入で気をつけておきたいこと
ネットワーク環境の確保
ネットワーク型STBの場合、安定したインターネット接続が必須です。映像や画像のデータ量に応じて、十分なスピードの回線を用意しましょう。特に4K動画を頻繁に更新する場合は、高速回線の導入も検討が必要です。
また、セキュリティ対策も重要です。VPN接続やファイアウォール設定により、不正アクセスからシステムを保護する必要があります。
設置場所選びのコツ
STBは小さいとはいえ、設置場所は重要です。熱がこもらない場所を選び、電源とネット接続がしやすい位置に置きましょう。ディスプレイの裏側や棚の中など、目立たないけれど機能に支障がない場所がベストです。
盗難対策も大切なポイントです。セキュリティボックスや固定金具を使用し、物理的な安全性も確保しましょう。
メンテナンスとサポート体制
STBを導入した後は、定期的なメンテナンスとトラブル対応が必要になります。24時間365日の安定稼働を実現するには、いざという時のサポート体制がしっかりしているかが重要です。
メーカーや販売会社のサポート内容を事前にチェックし、故障時の代替機の提供や現地対応の可否なども確認しておきましょう。
STB導入のコスト
初期費用と毎月の費用の比較
STBを導入する際には初期の導入費用だけでなく、継続的な運用費用もよく考慮する必要があります。スタンドアロン型STBは、USBメモリなどに保存したコンテンツを読み込むためネットワーク接続が不要で、比較的安価に導入可能ですが、更新を現地で手作業で行う必要があり、小規模での運用向けです。
一方、ネットワーク型STBはインターネット経由でクラウド型CMSと連携し、遠隔から複数拠点へ一括配信やスケジュール更新ができるため、運用効率が飛躍的に向上します。このため、初期費用は比較的高くても、巡回作業の手間や人的コストを大きく削減できます*3。
投資効果(ROI)の考え方
サイネージ導入の投資効果を考えるとき、STBの貢献は実は大きいです。安定して映像が流れることで機会損失を防ぎ、またタイムリーな情報更新で販促効果も最大化できます。
●サイネージでどんなことができる?活用アイデアをチェック
これからのSTB技術
AIカメラやセンサーとの連携
最新のSTBには、AIカメラやセンサーとの連携を行っているものもあります。これにより、視聴者の年齢や性別を分析し、自動で最適な内容を選んで表示したり、混雑状況に応じて動的に情報を変えたりすることが可能です*4
こうした技術により、よりピンポイントで効果的な情報発信が期待できます。
高解像度コンテンツへの対応
4K対応ディスプレイが普及したことにより、こうしたディスプレイに対応した高解像度のコンテンツが求められるようになり、次世代のSTBではこうした高解像度の対応や、より高速で安定した配信能力が必要になります。
STBを選ぶ際のチェックリスト
STBを選ぶ際に確認したいポイントをまとめました。
技術面
- 画質対応(フルHD/4K)
- 対応ファイル形式
- ネット接続方式
- 保存容量
- 処理能力
運用面
- 時間割機能の使いやすさ
- 遠隔管理・監視機能
- 複数店舗の一括管理対応
- オフライン時も動く機能
サポート面
- メーカー保証期間
- サポート体制(24時間対応?平日のみ?)
- 故障時の代替機提供
- 現地対応してもらえるか
まとめ:STB選びでサイネージの成功が決まる
デジタルサイネージを効果的に使うために、STBはまさに心臓部となる大切な要素です。適切なSTBを選ぶことで、安定した映像配信、効率的な管理、そして将来的な機能拡張も実現できます。
導入を検討する際は、単純に値段の安いものを選ぶのではなく総合的に考慮し、ニーズに最適なSTBを選ぶのが成功の鍵です。
STBについてもっと詳しく知りたい方や、デジタルサイネージの導入について疑問がある方は、Disitまでお気軽にご相談ください。
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「効果的な運用を始めたい」「現在の運用に課題を感じている」という方は、ぜひお気軽にご相談ください。
参考文献
*1 CAST SERIES. 「STBって何?デジタルサイネージの裏側を知ろう」 https://cast-series.com/beginner-guide/24835/digital-signage-stb/
*2 Rabiloo. 「サイネージのSTBとは?賢い選び方とサイネージ運用方法を徹底解説!」 https://rabiloo.co.jp/blog/signage-stb
*3 VisaTech. 「デジタルサイネージのSTBやCMSって何?正しく理解したデジタル運用を」 https://visatech.co.jp/blog/c74
*4 ミライコラボ. 「デジタルサイネージとは?今さら聞けない基本構成から導入メリットまで徹底解説」 https://miraicolabo.willsmart.co.jp/article/912
*5 CAST SERIES. 「デジタルサイネージに必要な STB(セットトップボックス)とは?」 https://cast-series.com/featured/24672/digital-signage-stb-guide/

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