By デジタルサイネージディレクター:t.takita Posted
商業施設でのデジタルサイネージ完全ガイド | 効果・配置場所など徹底解説
商業施設の競争が激化する中、と売上アップを実現する重要なツールとして注目されています。本記事では、商業施設でのデジタルサイネージ導入を検討している担当者に向けて、期待できる効果から配置戦略、ROI計算方法まで、実践的な情報をお届けします。
目次
デジタルサイネージ市場の急成長と商業施設への影響
市場規模の驚異的な成長
デジタルサイネージ市場は近年、驚異的な成長を遂げています。2023年のデジタルサイネージ市場は前年比11.4%増の2,219億円となり、2027年には3,294億円に達すると予測されています。
特に注目すべきは商業施設・店舗分野の急拡大です。この分野は2020年の77億円と比較して、2024年には5倍以上の387億円にまで市場拡大することが予想されており*¹、商業施設でのデジタルサイネージ需要の高まりを裏付けています*¹。
商業施設でデジタルサイネージが選ばれる理由
商業施設でデジタルサイネージの導入が加速している背景には、顧客の行動変化への対応があります。スマートフォンの普及により、静的な情報では顧客の注意を引きにくくなり、短時間で多くの情報を効率的に伝える必要性が増大しています。また、外国人観光客への多言語対応の必要性も高まっています。
運営面では、人件費の上昇に伴う業務の自動化・デジタル化推進が求められており、リアルタイムでの情報更新の重要性も高まっています。デジタルサイネージは、これらの課題を解決する理想的なソリューションとして認識されています。
加えて、ESG(環境・社会・ガバナンス)への取り組み強化も導入を後押ししています。紙のポスターやチラシの使用量削減によるCO2排出量削減効果は、企業の環境負荷軽減目標達成に大きく貢献します。デジタル化による業務効率向上は、働き方改革の推進にも直結しています。
商業施設でのデジタルサイネージが実現する具体的効果
集客力の飛躍的向上
デジタルサイネージの最も顕著な効果の一つが、集客力の大幅な向上です。従来の静的な看板と比較して、映像や音声を活用した情報伝達により、通行人の注意を引く力が格段に高くなります*²。
屋外に設置されたデジタルサイネージは、施設前を通行する人々の取り込みに特に効果的です。動画コンテンツによる視覚的インパクトで通行人を立ち止まらせ、時間帯に応じたターゲット広告により効率的な集客戦略を実行できます。
売上向上への直接的な貢献
デジタルサイネージの導入による売上向上効果は、実際のデータで裏付けられています。デジタルサイネージを導入したショッピングセンターでは、対象商品群の売り上げが軒並み1.5倍から2倍以上という結果を記録しています*³。
館内回遊性向上による総売上の最大化
商業施設における売上最大化には、来館者の館内回遊性向上が不可欠です。実際の成功事例として、あるショッピングセンターでは1階のエスカレータ前におすすめの季節商品の販売場所を案内するデジタルサイネージを設置し、2階、3階への効果的な誘導に成功しています*³。また、フロア案内と連動した商品・時間帯別のおすすめ情報配信により効果的な誘導が実現されます。
運営コスト削減の実現
デジタルサイネージの導入は、売上向上だけでなく運営コストの大幅な削減も実現します。従来のポスターや告知物は内容変更のたびに印刷物を作成し、人手による貼り替え作業が必要でしたが、これらの費用と人件費が大幅に削減されます。
ブランドイメージ向上と差別化の実現
デジタルサイネージは、商業施設のブランドイメージ向上と競合他施設との差別化において重要な役割を果たします。美しいデジタルアートや高品質な映像コンテンツにより、施設のブランド世界観やコンセプトを効果的に表現できます*²。
また、通行人を楽しませる演出や話題性のあるコンテンツを提供することで、施設自体がエンターテインメント性を持ち、SNS等の拡散効果も期待できます。
商業施設に適したデジタルサイネージの種類
スタンドアローン型の特徴と適用場面
スタンドアローン型デジタルサイネージは、USBなどの記憶媒体でコンテンツを管理するシンプルなシステムです。小規模店舗やイベントに最適で、低コストかつ操作が簡単なのが特徴です。ネット環境が不要で安定運用できますが、更新には現地作業が必要なため、大規模運用には不向きです。
ネットワーク型の活用メリットと導入効果
ネットワーク型デジタルサイネージは、インターネットを通じてコンテンツを遠隔で管理できるシステムです。多店舗や大型施設に最適で、リアルタイム更新や時間帯別配信、在庫に応じた内容変更など柔軟な運用が可能です。また、一括管理や効果測定も行え、効率的な運用と改善に役立ちます。
インタラクティブ型による顧客エンゲージメント向上
インタラクティブ型デジタルサイネージは、タッチ操作により顧客が自ら情報を取得できる仕組みです。フロア案内や店舗検索に便利で、多言語対応により外国人観光客にも有効です。日本語・英語・中国語・韓国語などに対応し、スムーズで快適な案内が可能です。
●デジタルサイネージの種類とその特徴はこちら
効果を最大化する戦略的配置場所の選定法
エントランス・メインコンコースでの第一印象戦略
商業施設のエントランスやメインコンコースは、来館者に与える第一印象を決定する最重要エリアです。ここに設置されるデジタルサイネージは、施設全体のイメージ形成と基本的な情報提供において中核的な役割を担います。
効果的な設置のためには、来館者の視線の流れと移動パターンの詳細な分析が不可欠です。大型ディスプレイを人の流れの正面に設置することで、最大の視覚的インパクトを与えることができます。
駐車場・屋外エリアでの来店前集客戦略
駐車場や施設周辺の屋外エリアは、来館者が施設に最初に接触する重要なタッチポイントです。この段階でのデジタルサイネージ活用は、来店動機の向上と施設内での行動計画の形成において大きな効果を発揮します。
駐車場エントランスに設置される大型LEDビジョンは、車で来館する顧客に対して強いインパクトを与えることができます。運転中でも視認しやすい大きな文字と鮮明な映像により、今日のおすすめ情報や限定イベントの告知を効果的に伝達できます。
屋外歩行者向けのデジタルサイネージでは、天候に応じたコンテンツ配信が効果的です。雨の日には屋内で楽しめる店舗の紹介を、晴天時にはテラス席のあるレストランやアウトドア用品店の情報を重点的に配信することで、その日の気候条件を活かした誘導が可能になります。
エスカレーター・エレベーター周辺の待ち時間活用戦略
エレベーターホールやエスカレーター周辺は、来館者が必然的に滞留する場所であり、デジタルサイネージの効果が最も発揮されやすいエリアの一つです。この戦略の成功事例として、横浜駅直通の複合型エンターテインメントビル「アソビル」での導入が挙げられます。
アソビルでの実践事例
アソビルでは、1Fグルメストリート入り口のエレベーターホールにデジタルサイネージを設置し、来館者の待ち時間を有効活用しています。エンターテインメント施設という特性を活かし、「わくわくドキドキする体験」というコンセプトに沿ったコンテンツを配信することで、エレベーター待ちの時間を楽しい体験の一部に変えています。
設置においては、電源供給が困難な場所であったため、3mの延長工事を実施してケーブルをモールで美観を保つなど、技術的な課題も解決しながら最適な位置への配置を実現しています。フロアごとに異なるテーマ(最新テクノロジー、ものづくり、キッズなど)を設定している施設の特徴を活かし、来館者が向かうフロアに応じた体験型コンテンツの予告編を効果的に配信しています。
●株式会社アカツキライブエンターテインメント「アソビル」様の記事はこちら
フードコートでの滞在時間最大活用法
フードコートは商業施設内で最も滞在時間が長いエリアの一つであり、デジタルサイネージの広告媒体としての価値が極めて高い場所です。食事をする来館者は必然的に20分から1時間程度の時間を過ごすため、他のエリアでは実現できない詳細な情報提供や継続的な訴求が可能になります。
各飲食店舗のカウンター上での店舗個別のメニュー表示では、調理風景の動画や食材の新鮮さをアピールする映像により、食欲を刺激し、注文への誘導を図ります。
フードコート内の柱や壁面を活用した広告媒体としての利用では、商業施設全体のイベント情報、他フロアの店舗プロモーションなどを効果的に配信できます。
テナント前・店舗入口での購買行動促進戦略
店舗入口に設置されるデジタルサイネージは、通行人を足止めし、入店を促すための最重要ツールです。実際の導入事例から、その効果的な活用方法を見てみましょう。
表参道ヒルズ「フラテリパラディソ」の成功事例
表参道ヒルズ3階のイタリアンダイニング「フラテリパラディソ」では、「魅力的な料理が伝えきれていない」「店内が奥まっていて店の雰囲気が伝わらない」という課題を抱えていました。店頭にデジタルサイネージを導入し、ブランディング映像と時間別メニュー(ランチ・カフェ・ディナー)を配信したところ、導入直後から「サイネージを見て入店してくれるお客さんが増えた」という具体的な成果を得ています。
●表参道ヒルズ:フラテリパラディソ(FRATELLI PARADISO)様の記事はこちら
渋谷ヒカリエ「シアターテーブル」のターゲット戦略
渋谷ヒカリエ11階の「シアターテーブル」では、オフィスエントランスに面した立地を活かし、同ビルで働く人たちをターゲットとした入店促進策としてデジタルサイネージを導入しました。4K高精細モニターでブランディングコンテンツとメニュー情報を配信し、オフィスワーカーの日常的な利用促進に成功しています。
●渋谷ヒカリエ「シアターテーブル」様の記事はこちら
ROI(投資対効果)の詳細計算と成功事例分析
基本的なROI計算の理論と実践
デジタルサイネージ導入の投資対効果を正確に算出することは、経営判断において極めて重要です。ROIの基本計算式は「(得られた利益 – 投資コスト)÷ 投資コスト × 100」ですが、商業施設での実際の計算では、複数の効果要素を総合的に評価する必要があります*⁴ 。
投資コストには、ハードウェア購入費用、設置工事費、ソフトウェアライセンス費用、保守メンテナンス費用、コンテンツ制作費用などが含まれます。これらのコストは初期投資と継続的な運用費用に分けて計算し、適切な償却期間を設定して年間コストとして算出します。
効果の測定においては、直接的な売上向上効果に加えて、運営コスト削減効果、ブランドイメージ向上による長期的な集客効果、競合優位性の獲得による市場シェア拡大効果なども考慮する必要があります。
水戸駅前「マイムビル」の成功事例分析
茨城県水戸市の駅前に位置する「マイムビル」は、旧丸井水戸店跡地をリニューアルしたオフィスビルです。2020年春の改装オープンに合わせて、横14.4m×縦2.56mの大型屋外LEDビジョン「マイムビジョン」を設置し、地域のシンボルとしての役割を果たしています。
導入効果の詳細分析
マイムビルでは、大型LEDビジョンの設置により複数の効果を実現しています。水戸駅前という立地を活かした高い視認性により、周辺エリアへの集客効果が顕著に現れました。特に、IT分野をはじめとする働き方を変える企業や人材の誘致において、先進的なイメージの発信に成功しています。
災害危機通報サービスの搭載により、順天頂衛星システム「みちびき」からの災害情報を即座に表示できる機能は、地域の安全・安心に貢献するとともに、社会的価値の高い施設としての認知度向上にも寄与しています。このような多面的な価値創出により、単なる広告媒体を超えた地域活性化の拠点としての役割を果たしています。
●水戸駅前「マイムビル」様の記事はこちら
導入を成功に導く実践的ガイドライン
導入前の詳細な現状分析と課題設定
デジタルサイネージの導入を成功させるためには、まず現状の詳細な分析と明確な課題設定が不可欠です。現在の情報発信方法の効果測定を行い、どの部分に改善の余地があるかを具体的に特定します。
段階的導入によるリスク軽減戦略
大規模な商業施設での一斉導入は、初期投資のリスクと運用ノウハウ不足による失敗リスクが高くなります。成功確率を高めるためには、段階的な導入アプローチが効果的です。最も効果が期待できる1、2箇所での先行導入を行い、実際の効果測定と運用ノウハウの蓄積を図ります。
運用体制の構築と継続的改善サイクル
デジタルサイネージの効果を継続的に最大化するためには、適切な運用体制の構築が欠かせません。コンテンツ更新の責任者を明確に定め、定期的な更新スケジュールを確立します。トラブル発生時の対応フローを事前に整備し、迅速な復旧が可能な体制を構築します。
効果測定と改善のPDCAサイクルを組み込み、定期的なデータ分析と改善策の実施を行います。来館者からのフィードバックを積極的に収集し、利用者目線での改善を継続的に行います。
まとめ:商業施設の競争力向上を実現するデジタルサイネージ戦略
デジタルサイネージは、もはや広告にとどまらず、商業施設の競争力を高める戦略的資産です。市場拡大と導入の加速はその効果を裏付けており、売上が1.5〜2倍に伸びる事例もあります。
成功には目的の明確化と継続的な改善が不可欠であり、単なる技術導入ではなく顧客体験を高める手段として位置づけることが重要です。
今後はAIやIoTとの連携で、より高度なサービス提供も期待されます。
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参考文献
*¹ 富士キメラ総研「デジタルサイネージ市場総調査 2023」(2023年7月)https://www.fcr.co.jp/pr/23085.htm
*² リコー「売上につながるサイネージの活用モデルを解説」https://www.ricoh.co.jp/products/line-up/digital-signage/column/retail01
*³川崎モアーズ様 導入事例 | リコーhttps://www.ricoh.co.jp/case/1707_okadaya-mores/
*⁴ 株式会社セキュア「サイネージの費用対効果が高い3つの根拠」(2024年12月)https://secureinc.co.jp/blog/store-dx/unmanned-store/signage-cost-effectiveness/

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